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やきもの散歩<6>
加守田章二
      丸の内・八重洲周辺
涼しげな秋風を肌に感じながら、今回は京橋・銀座方面から東京駅を挟んで八重洲、丸の内界隈をやきもの散歩してみます。 このコースは、午後からのゆっくりのスタートでも平気です。
京橋・銀座からスタート
 今回紹介するコースは、休日の午後、京橋か銀座辺りからスタートするのをお勧めします。 ただし、銀座・京橋界隈の工芸専門店やギャラリーをいくつも覗く予定があるならば、少し早く出発した方がいいでしょう。
 それにしても、秋めいてくると、この辺りのギャラリー街が賑やかになるのがよく分かります。 通りに「○○○○展 会期中」の看板が、急に数多く出されるようになるからです。 また最近では、地下鉄京橋駅の周辺は、道を一本奥に入った辺りにも、小さなギャラリーが器を展示していたりしますから、新しい発見があるかも知れません。
 中央通りを日本橋方面へ歩くと、やがて八重洲通りと交差し、巨大なブリヂストンビルが見えてきます。 「ブリヂストン美術館」の入口は、八重洲通りに面していて、目印の旗が風に揺れています。 企画展も開催されますが、収蔵作品には一級品が多く、常設展も見逃せません。

■ブリヂストン美術館
中央区京橋 1-10-1 ブリヂストンビル内
TEL. 03-3563-0241
タイヤを作って世界的に知られるブリヂストンの創業者・石橋正二郎によって、1952年に創設。 主な所蔵作品はコロー、ミレー、ルノワール、モネなど印象派と周辺の作家、それにゴッホ、マティス、ピカソなど近代絵画も。 エントランスの感じが、ふと、外国の美術館にいるような錯覚を覚えさせる雰囲気です。


ブランドは丸の内仲通り
 ブリヂストン美術館を出たら、東京駅の八重洲口方向へ向かって、まっすぐ歩きます。 5分ほどで到着しますから、今度は丸の内側へと連絡通路を抜けます。
 そして丸の内中央口を出てすぐ左、大正時代に竣工したという赤煉瓦の駅舎へ誘うように、「東京ステーションギャラリー」のアプローチが見えるはずです。 ギャラリーという名称ではありますが、1988年に開館した立派な美術館です。 一部には赤煉瓦がそのまま剥き出しになっている展示室もあって、個性的です。 また、平日は午後8時まで開館(入館は30分前まで)していて、時間が有効に使えとても便利です。
 会期中の「加守田章二展」をゆっくりと堪能したら、感動に火照った躰をクールダウンさせつつ、丸ビルの裏側の道、丸の内仲通りを日比谷方面に向かって進みましょう。 するとアルマーニ、エルメス、コムデ・ギャルソン、ブルックス・ブラザーズなど有名ブランドの基幹店が、次々と現れます。 工芸関係の著名ブランド、ウェッジウッド、ロイヤルコペンハーゲン、それにバカラなどもこのエリアに堂々と店舗を構えていますから、ぜひ立ち寄ってみましょう。
 秋の一日、東京のオフィス街での美術散歩はいかがですか?

■ウェッジウッド丸の内本店
千代田区有楽町 1-12-1 新有楽町ビル1F
TEL. 03-3213-6677
1759年にイギリスで創窯。 クィーンズ・ウェアと呼ばれる陶器が出世作。 1774年に完成した無釉のせっ器、ジャスパー・ウェアはあまりに有名です。 青地に純白な土をレリーフして貼りつけたジャスパーで、1度はお茶を飲んだ経験のある方も多いのではないでしょうか。 日本での知名度も人気も高い名窯。
   


■ロイヤル コペンハーゲン丸の内本店
千代田区有楽町 1-12-1 新有楽町ビル1F
TEL. 03-3211-2888
デンマークの誇る名窯で1775年に設立。 ここのお得意は、なんといっても染付のデザイン。 なかでもブルーフルーテッドは、200年以上作り続けられている超ロングセラー。 また、フローラダニカは、この窯の最高傑作のひとつで、オリジナルはデンマークの国宝に指定されているほど。 復刻版が入手可能です。
    



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