インターネット版 No.95 全3ページ 1 | 2 | 3

1 ・やきもの散歩 ・・・ 砥部 「砥部焼伝統産業会館」と「坂の上の雲」の舞台を訪ねて
2 ・茶とやきもの 55 ・・・ 遠州流・安藤宗良先生にインタヴュー「義満や信長が使った天下一の名香」
・「川喜田半泥子のすべて」展
3 ・<repo>「遊び」 瑞浪陶芸協会作品展 ・・・ 瑞浪市陶磁資料館


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乳の色なす砥部焼
 昨年、NHKのスペシャルドラマ「坂の上の雲」の第一部の放送がありました。原作は司馬遼太郎が書いた歴史小説です。そしてその物語の主人公・秋山好古、真之兄弟や正岡子規らは、皆、松山市の出身。今、伊予の国に注目が集まっています。

 そこでまず松山市内に入ったら「坂の上の雲ミュージアム」へ。この施設は松山の街全体を、屋根のないフィールドミュージアムに、という考えに基づき活動しています。「坂の上・・・・」の関連でいえば、松山中学に赴任した夏目漱石と正岡子規の友情も忘れてはなりません。ふたりが過ごした「愚陀佛庵」が「松山城」の山腹に復元されています。
坂の上の雲ミュージアム

●愛媛県松山市一番町3-20
●TEL.089-915-2600
●司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」の理念に基づき、また松山の街全体を、屋根のない博物館とするフィールドミュージアム構想を担う施設として創設され、街の魅力を紹介する中心的な役割を果たしています。館内では小説に登場する子規、秋山好古・真之兄弟らの足跡と、明治時代に関する展示などが見られます。
愚陀佛庵 (ぐだぶつあん)
●愛媛県松山市一番町3-3-7
●TEL.089-921-3711
●「愚陀佛」とは夏目漱石の俳号のこと。療養中の正岡子規と松山中学に赴任した漱石が52日間同居していた庵が復元されています。

道後温泉本館
●愛媛県松山市道後湯之町5-6
●TEL.089-921-5141
●古くから偉人や墨客が通った道後温泉は、3000年を越える歴史があるといわれる日本最古の温泉です。本館は明治27年に建造され、三層楼のどっしりと堅牢な建物は、築100年を越えて国の重要文化財の指定を受けています。泉質はアルカリ性単純温泉、湯温はやや熱めの平均43度。
入湯料=400円〜1,500円
そして明日は、いよいよ砥部(愛媛県伊予郡)に
向かいましょう・・・・。
萬翠荘
●愛媛県松山市一番町3-3-7
●TEL.089-921-3711
●大正11年に旧松山藩主の子孫・久松定謨(さだこと)伯爵が建てた純フランス風の建物で戦災を逃れた貴重なもの。愛媛県指定有形文化財。
坊ちゃん列車
●伊予鉄道開業の明治21年から松山市内を走ってきた蒸気機関車をモデルにした市街電車。
1回乗車=300円

 砥部焼は200年を越える歴史があり、九州・肥前からの影響を受けつつ、18世紀後半頃から、磁器の生産が本格的にはじまった四国の名産地です。
 現在では、染付磁器などの伝統的なもののほかに、様式にとらわれない新しい感覚の作も焼かれるようになっています。
 そうした特徴を知るために、ぜひ訪れたいのが「砥部焼伝統産業会館」。歴史的な作品もしっかりと収集・管理されていて、草創期の陶器、また絢爛で精緻な磁器など、砥部焼の底力を再認識することができます。また、館内の案内なども丁寧で、とても好感の持てる専門施設だと感じました。

砥部焼伝統産業会館
●愛媛県伊予郡砥部町大南335
●TEL.089-962-6600
●230年の伝統を誇る砥部焼の優れた作品、歴史的な資料を紹介する産地の中核的な施設として活動しています。現代の作家や窯元の代表作も展示され、産地の全体像を俯瞰することができます。また周辺に点在する名所旧跡を「砥部の里めぐり 陶街道五十三次」として選定し、同館がその本陣になっています。
同館のシンボルは、国連欧州本部に寄贈された染付磁器の地球儀「生命の蒼い星」(高160、径105cm)の姉妹作品。世界最大級といいます。1階では歴史的作品や古い道具に資料、また和風や現代的なしつらえでの作品展示、2階には窯元作品の紹介コーナーや個展などが開催される企画展自室があります。


 現代の砥部で最も規模の大きな窯元が「梅山窯」です。50名ほどの職人を擁し、完全な分業体制で生産を行っています。この窯には、かつて柳宗悦や濱田庄司ら民芸運動の推進者たちが訪れています。その後、工藤省治氏(現在は春秋窯)の参加により、民芸や伝統を現代的に読み直したクラフト風な器の開発を進め、それらが時代に合致して一世をを風靡し「梅山窯」の名を高めました。

梅山窯 (梅野精陶所)
●愛媛県伊予郡砥部町大南1441
●TEL.089-962-2311
●明治時代の開窯以来120年ほどの歴史がある窯元です。かつて使われていた大型の登窯を見学すると往事が偲ばれるようです。この窯の製品の特徴はなんといっても実用本位な、丈夫で素朴な美しさのある磁器の器を作り続けていることです。この窯の染付と色絵の食器は毎日使っても飽きず、価格も手頃で好感が持てます。
砥部で最も規模の大きな窯元で、全国的にファンが多いことでも知られています。


梅山古陶資料館
●愛媛県伊予郡砥部町大南1441
●TEL.089-962-2311
●砥部焼の初期、北川毛窯で焼かれた生活雑器や、江戸中期からはじまった染付磁器、また明治時代からの色絵や白磁などが展示されています。
なかでも注目は、梅山窯と関係の深かった陶芸家、濱田庄司、河井寛次郎、藤本能道らの貴重な作品や資料が展示されていることです。


親近感のある磁器
 およそ100軒の窯元が技を競い、四国一の生産高を誇る磁器の産地・・・・。砥部焼の魅力は、磁器にありがちな薄く壊れやすいイメージとしては対局の、日用の器としての親近感にあります。やや肉厚のぽってりしたボディ、飽きのここない色や文様、もちろん磁器特有の清潔な印象も深い。
 今、世の中は四国ブーム。松山観光も兼ねて、一度は訪ねてみたい陶産地です。

佐川製陶所
●愛媛県伊予郡砥部町川登708
●TEL.089-962-2034
●「陶街道五十三次」の三七番目「川登水車」がここ。明治の中頃に作られた水車は、今は動か
すこともなく少なくなりましたが、砥部川の水を使って回し、万年陶石や上尾陶石を砕きます。別名、太鼓水車とも呼ばれ、近くまで行くと地を伝わって腹まで響き渡るドン、ドンという音が聞こえます。鄙びた風情で絶好のシャッターポイントです。
緑光窯 (亀田茂樹)
●愛媛県伊予郡砥部町北川毛774-1
●TEL.089-962-2524
●砥部の土の特徴を活かして作る青白磁と水墨画調の絵付が魅力的な窯元です。櫛目文などの彫り文、釉彩などの技法を松田哲山氏に学んだ経歴を持ちつつ、砥部焼の伝統技法を意識しながら基本を踏まえて作られています。亀田氏は砥部焼伝統工芸士に認定され、現在、制作活動の傍ら、砥部の作り手をまとめる役割も担っています。

きよし窯 (山田ひろみ)
●愛媛県伊予郡砥部町五本松364
●TEL.089-962-2168
●夫婦で新しい砥部焼の歴史を作ろうとしています。ご主人が有田で学んだこともあり、やや薄手の磁器のボディに、和紙染めの技法や独自の技術を使って伝統にとらわれない器作りを目指しています。花や魚が絵付のモチーフに用いられることが多く、和に傾かず、かつ洋でもない雰囲気の器に特徴があります。
大西陶芸 (白石久美)
●愛媛県伊予郡砥部町北川毛796
●TEL.089-962-2456
●親子3人の多彩な技法によって作られる現代の砥部焼。伝統的な鑑賞陶器から現代の生活にも合う日用食器、子供用の器まで制作。イッチン、染付、彫刻、象嵌、下絵の具による絵付などを施した作品です。父の開発した艶消し釉を使った作は、磨りガラスのような感触が魅力と好評。




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